ONNXを使ってPyTorchモデルの推論を高速化する
機械学習モデルの実運用においては、推論時間の高速化が非常に重要な課題となります。特に大規模モデルを使う場合、推論に時間がかかり過ぎると実用的ではなくなってしまいます。幸いPyTorchには、ONNXを使ってモデルの推論を高速化する機能が用意されています。
ここでは、ONNXを使った推論高速化の手順と、実際のコード例を見ていきましょう。
手順1: モデルの定義
まず通常通り、PyTorchを使ってモデルを定義します。今回はシンプルな線形回帰モデルを例に使用します。
import torch.nn as nn class LinearRegressionModel(nn.Module): def __init__(self): super().__init__() self.linear = nn.Linear(1, 1) def forward(self, x): out = self.linear(x) return out
手順2: モデルの学習
次にモデルを学習させます。ここでは詳細は省略します。
手順3: ONNXへの変換
学習済みのモデルをONNX形式に変換します。
import torch.onnx # 入力データのダミーを作成 dummy_input = torch.randn(1, 1) # モデルをONNXに変換 torch.onnx.export(model, dummy_input, "linear_model.onnx", opset_version=11)
手順4: ONNXランタイムでの推論
ONNXランタイムを使って、ONNXモデルから推論を行います。
import onnxruntime # ONNXセッションを作成 ort_session = onnxruntime.InferenceSession("linear_model.onnx") # 入力データ X = [[0.5]] # 推論実行 input_name = ort_session.get_inputs()[0].name output_name = ort_session.get_outputs()[0].name outputs = ort_session.run([output_name], {input_name: X}) # 結果の表示 print(f"Output: {outputs[0]}")
以上のように、ONNXを介すことでPyTorchモデルの推論を大幅に高速化できます。ONNXランタイムは最適化されたC++ベースのエンジンを利用しているため、PyTorch自体のPythonベースの実装より高速に動作します。 特に大規模モデルを使う場合、ONNXを使った推論高速化の恩恵は大きくなります。実運用時の推論パフォーマンスを確保したい場合は、ぜひONNXの活用を検討してみてください